ホテルが舞台の映画は観たことがあっても、
ホテルそのものが映画となっているのは初めてみる。
1930年創業の名門ホテルの歴史。
人柄が魅力的なベテランスタッフに美しい内装、名だたる宿泊客、
カフェやバーでの数々のパフォーマンスにワクワクして、楽しいひと時を過ごした。
『カーライル』を観たのは、好きな映画『レイニーディ・イン・ニューヨーク』がきっかけ。
&Premium ”私の好きな映画”より↓
「カーライルを予約するよ」 「ピアニストが名曲を弾き語りするバーがあるんだ」 「古き良きNYのバーで、壁の絵はL・ベーメルマンスだ」 という主人公ギャッツビーの台詞や 彼がそのバーでピアノを弾いているシーンがある。
雰囲気のある素敵なバーだなあと思っていたので、
今回、絵本作家ベーメルマンスの夢と遊び心のあるイラストを
じっくりと鑑賞できたのは、絵が好きな私としては嬉しかった事のひとつ。
宿泊客にまつわるエピソードや、常連客が語る思い出話も楽しく
常連のゲストが、”スタッフとは家族のような関係”と表現するところも
温かみが感じられて素敵だった。
映画のエンディングはカフェ・カーライルでステージに立った
女性アーティストの話。
彼女がステージ最後の曲に選んだのは
『Make Someone Happy』
”名声を手に入れても一瞬で消える”
”人生で大事にすべきものは?”
”それは愛 そして誰かを愛すること”
”誰かの幸せが自分の幸せになる”
と歌詞の一部に触れて、
「人の本質に関わる歌であり、ここの観客はそういうものが好き。」
「物事がもっとシンプルで、もう少し現実的だった時代に戻れるからよ。」
「直接向き合うの 人間らしくね。」
と語っていたのがとても印象的だった。
移り変わりの激しい世の中にあっても、愛され続けるホテル。
古き良き時代を感じる心温まる物語でした。